貯蔵庫

日記、ぶつける当てのないもやもやを置いておく場所

ダウンベスト

7:15起床。ポケモンスリープがイベント中だが、私の周りで寝息を立てているのはいつもと変わらない面々。足元のウソハチを跨いで洗面台へ向かう。私がラピスラズリ湖畔で眠れるのはいつになるのやら。

朝から晩まで仕事をする。最近は環境が少し変わってきて、普通に仕事をしている。人員配置の見直しが行われ、私の部署内の人数がガツっと減る。不安でしかないが、考えても仕方がない。

原付に跨りぼんやりと帰宅する。大きな交差点の赤信号で止まる。すると真横にぴったりと、ガストの配達バイクがくっついてきた。「いつもこの道こんなに混むの?」大きな目玉をぎょろぎょろさせながら、ダウンベストのおじさんが聞いてきた。原付に跨り、早10年。信号待ち中とはいえ、初めて運転中に話しかけられた。私はひるみながらも、適当に返事をする。おじさんは会話がしたいというよりは、自分の話を聞いてほしい人のようだった。私の返事には興味がなさそうにし、指名手配犯の話を始めた。エンジン音にかき消され、要所要所聞き取れなかったが「アッハ!!ですよね~~!!」と言っておいた。世間話が苦手なのだ。

青信号になり、先を走るおじさんは左の路に逸れていき、私の視界からは消えた。何だったのだ一体。私の平穏で退屈で孤独な帰り道を、どうか邪魔しないでくれ。と思うと同時に、あれくらいのパワーと鈍感さがないと他人の懐に居入り込むのはできないのかもしれない。と思った。

おじさんのことを考えながら、家の近所のスーパーマーケットに寄る。前方の総菜コーナーに、ぎょろついた眼で半額のコロッケを値踏みする、ダウンベストのおじさんがいた。

私はとっさに踵を返す。肘に掛けていた真っ赤な買い物カゴを床に置いて、一度店を出る。駐輪場にガストのバイクはない。暗くて顔がよく見えなかったが、あの今にも飛び出さんと躍動する二つの眼は、先刻の彼と同じような、気がする。あの後即配達終わったってこと…?

話しかけられても面倒なので、おじさんの視界に入らないように各コーナーを見て回った。何度か鉢合わせそうになる。乾物の棚の裏からおじさんの動向を確認して、動く。店員に思いっきりいらっしゃいませされた。万引き犯か何かかと思われたのだろうか。レジでもバイトのお兄さんに絡んでいた。やはり同一人物な気がする。

家に帰って、あさりの酒蒸しとだし巻き卵、半額のクリームコロッケで晩酌をした。あさりの美味さは毎度感動する。しょっちゅう鮮魚コーナーの片隅で半額になっている。砂抜きの工程さえなければもう少し積極的に食卓に取り入れたいのだが。

お香を焚いて、本を読んでから寝た。最近は精神科医のエッセイを読んでいる。なんだか読み進めるのがもったいなくて、1日1節ずつにしている。旅行先での話が多く、読んでいるとうずうずしてくる。12月に行ったばかりだが、一人旅に行きたい。