貯蔵庫

日記、ぶつける当てのないもやもやを置いておく場所

ひとり石川旅行 前編

半年ぶりに平日の連休が現れた。
勤務の体制が少し変わったせいで、なかなか現れなかったのだが。

妻に了承を得て、ふたたび一人旅へ。

石川県金沢市行きの新幹線とホテルを取った。
かねてより21世紀美術館は見たかったが、他には理由はない。
金沢一人旅は「"知ってる"男」っぽいからという理由で選んだ。

 

新幹線の都合で4時半に起きて東京駅に向かう電車に乗る。
慣れないことをしているからか、乗車後5分も立たずにうんこがしたくなる。しかし、途中で下車した場合、新幹線に間に合わない。

スマートフォンで東京駅到着時刻を調べ、時計アプリの秒針をじっと眺めてただひたすらに耐えた。イヤフォンからは芸人のポッドキャストを流していたが、手に汗握りすぎて何も聞こえていなかった。ただ電車のドアが開閉する際に入り込んでくる冷たい風で我が腸内が機嫌を損ねないか、のみを考えていた。競馬新聞を開く老人も、口を開けて寝ているサラリーマンも、「うんこをしたいわけでは無さそう」というだけで全員が羨ましく見える。私はこんなにも1分1秒を大切にして、生きているのに。なんとか、なんとか息をしているというのに。

本当に、日本の公共交通機関は優秀である。一分の狂いもなく、わたしは東京駅に着き、下を向いて歩く群衆をかき分けてトイレに駆け込んだ。もし、意図せぬところで産み落とす形になっていたら、私の日記はここで終わっていたことであろう。

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無事に乗り換えも済ませ、9:30頃金沢駅に到着する。
駅の写真を撮って回り、10:00 もりもり寿司へ

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えらい人気店との情報をキャッチしていたのでいの一番に整理券を獲得。平日にもかかわらず、オープン時は22組待ちとなっていた。

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私は28年間生きてきて、この日はじめて、マシンが握っていない寿司を食べた。
質のいいものを食べ時に「あま~い!」という表現は擦られすぎて適切でない、という風潮があるが、実際ネタが甘い。鼻に抜ける香りもなんと上品なことか。口の中が美味しい膜でコーティングされていくのが分かる。このうまみを日本酒でスススだったなと思うも、私はビールを注文してしまった。
カウンターの隣の席に座っていたおじさんが白エビのから揚げでビールを飲んでいて、すごく羨ましかった。わたしは井之頭五郎のようにはなりきれず、隣の人と同じ注文は控えた。せっかくの旅行なのだから、もっと大胆に動けばよかったなと今になると思う。振り返ってみると、もう少し本気で食べておけばよかったと思う。それくらい、美味しいお寿司屋さんだった。わたしがマシン寿司しか食べたことが無い舌だったから驚いてしまったのか、本当に美味しいお店だったのかは申し訳ないが判断がつかない。つかないが、有名なお店であることは間違いないので、恐らく後者なのであろう。

店を出ると、金沢城方面と書いてある路線バスが止まっていたので、あまり調べずに乗飛び乗る。前の席に座っていたカップルが東茶屋町に向かうような会話をしていたので、同じバス停で下車した。無計画にもほどがある。

 

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非常に美しい街並みであった。外国人観光客と着物姿のカップルをかき分け、シャッターを切りまくる。途中酒屋で試飲をしようとして、高くてやめるなどした。

重要文化財の志摩に立ち寄り、お茶をいただいた。いつしか自然と、こういった歴史的建造物に展示してある解説をしっかり読むようになっている自分がいる。まだ、たまに普通の道に立ってるよくわからない石碑は見ない。

その昔、ここでいろんなエッチなお座敷遊びが起こってたんだなと思うと鼻息が荒くなる。靴を脱いで茶屋の中を見ることができるのだが、点々と並ぶ展示品のガラスケースの前にはホットカーペットが敷いてあって、足の裏が暖かいと気持ちがいいものだなと思った。ホスピタリティ。

 

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グーグルマップを頼りに21世紀美術館へ。徒歩20分程で到着。

21世紀美術館は本当に面白かった。今を生きている人々が残したアート作品に触れるのは今しかできないことだ。今回の企画展がデジタルテクノロジーというものだったからか、他の美術館ではあまり見受けられないようなものの展示が多かった。

時代が違う人が作ったものに対して「この作品は、こうした社会背景があって、どういう主張の元で作られている」という解説を読んだ時、私はしばしば自分事としてそのメッセージを捉えきれなかったりする。テクノロジーがぐんぐん進んでいる中でリアルタイムで今起こっている社会問題や、自分自身の無意識にし潜んでいた思考や感情と向き合うことができる、非常に有意義な時間となった。是非ともまた行きたいと思う。

 

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1度は立ち寄っておかないと、と思い、交差点の向かいにある兼六園をぐるっと回る。半ば義務感でパンフレットの絵と実物を見比べながら歩く。途中、腰にスピーカーを付けて旗を持ったハキハキした女性が、老人集団相手にでっけ~松の説明をしてくれるので、遠くから聞き耳を立てた。解説があったらもう少し楽しめていたのだろうか。自らの学のなさを呪いながら、ふらふらと歩きだした。

 

後半へ

 

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