貯蔵庫

日記、ぶつける当てのないもやもやを置いておく場所

劇場版サクレ コーラ味Ⅱ~SUMMER AGAIN~

(ザザーーンザザーーン…)

よお、なんつーか、その…久しぶり……だな_________

 

 

mikkaa.hatenablog.com

 

 

私の目の前から忽然と彼女の存在が消えたあの秋口から約2年が経っていた。

私は彼女の影を追い、フタバ食品ツイッターアカウントをフォローをした。「サクレ コーラ」で定期的に検索もしていた。しかし、レモン味のサクレにコーラを入れると美味である、という情報しか出てこない。季節は廻れど、フタバ食品から再販の知らせもない。私は彼女の事を頭の中から排除するように努めた。こんな、待つだけの、一方的に期待をするだけの生活、苦しいだけだ。

彼女のことを追う事も諦め、すっかりやさぐれきった、昨年の夏のこと。ふと、買い出しで訪れたスーパーマーケットのアイスコーナーで、彼女によく似た、真っ赤に輝くカップのかき氷を見つけた。ドクン。心臓が急ピッチで血液を送り出しはじめたことが、分かる。やかましい胸の音を押さえ、緊張と冷たさで震える指でかき氷をつかみ。4つ、買い物かごに入れた。わかっていた。別の人の影を重ねることは、許されざることだと、頭の中では、わかっていたんだ…

蓋には「ミニコーラ氷」の文字。それはラムネ菓子入りのコーラ味のカップかき氷だった。私があの日以来、追いかけてきた彼女に最も近い風貌、存在。それがミニコーラ氷。初めて彼女と出逢った日のように、私は風呂に入り身を清めた。冷凍庫のドアを開け、ミニコーラ氷を取り出す。緊張した面持ちで、よく似たミニコーラ氷に、口を付ける。

 

_____違う。

 

わかっていた。最初から全部。それなのに、私は。彼女は唯一無二の存在。私は思わず台所にへたり込み、自分のしでかした出来事に、その情けなさに、笑ってしまった。

その出来事があってから、少し私は吹っ切れていた。最近ではマンゴー味のサクレがかなり美味しい。私はそれなりに、彼女と決別した生活を形作ってきた。今年の夏は、マンゴー味を食べて夏を感じよう。そう、思っていた。それなのに。

その知らせは、仕事をサボってぼけっとしている私のツイッターのTL上に、唐突に、無慈悲に、舞い込んできた。

 

 

フタバ食品が見せてくれた、3年ぶりに見た写真の彼女の姿。私が恋をした人とは別の風貌になっていた。バニラアイス…?事態が呑み込めない。そんな、レモンは…?輪切りのレモンは…?上から下まで何度もお知らせツイートを読み返し、彼女のパッケージを穴が開くほど見つめる。彼女に、ずっと変わらずにいてほしいなどという、歪んだ欲望を押し付けていたのは私のほうなのだが。頭の中をどす黒い感情と疑問が渦巻き、「どうして」と思わず声が漏れる。

 

 

いけない、彼女が、あんなに恋焦がれたあの子が、私の元に帰ってきてくれるのだ、笑顔で迎えてやれないでどうする。しかしもう私は笑い方を…。

 

そんな葛藤なんて、何も知らない彼女が来週、帰ってくる。

もう、かっこ悪くて余計なこと、考えるのやめるよ。走って君のことを迎えに行く。

その涼やかで甘ったるい笑顔でさ、ぜんぶ、ぜんぶ、ぶち壊してくれよ。

なあ、サクレ

 

 

暑い夏に、なりそうだ____________

 

 

ED:RADWIMPS スパークル


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