貯蔵庫

日記、ぶつける当てのないもやもやを置いておく場所

ひとり宮城旅行 後編

mikkaa.hatenablog.com

つづきです。

謎の美少女キャラパンフレットをもらった

橋を渡り島へ行く。自然豊かな自然公園だった。耳のスレスレを攻めていく虫の羽音と進路をふさぐでかいカラスに、心を砕かれながら散策を続ける。暑い。関節に汗が溜まり気分が悪い。遊覧船で見るよりも近い距離で島を眺めることができた。

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岩肌と緑が美しい。あの離れた島にどうやって樹木が生えて行ったのだろうなあなどとぼんやりと思った。

一通りぼけっとしたので長い橋を再び渡り、本土へ戻る。

制服を着た、男子2女子3の日に焼け、リュックを背負った中学生グループが、私の前を歩いていく。修学旅行で来ているのだろう。橋の真ん中付近で、班員全員で楽しそうに自撮りをしている。傍から見ていて、いい感じに仲がいい。わたしはその光景があまりにまぶしくて、くらくらして立ち止まってしまった。彼らにとってあの写真は向こう何十年も時折見返す、キラキラした修学旅行思い出の写真になるのだろう。貴重な現場に立ち会っているのかもしれない。彼らは写真を撮り終えた後、旅行のしおりを見て、バスの集合時間が近いことに気付いたようだ。誰のせいだと言い合い、笑いながら全力で橋を駆け抜けて行った。私は彼らが放つあまりに痛烈にまばゆく、儚い真っ白な光に飲まれて、断末魔と共に、跡形もなくその場から消失した。

死因:青春コンプレックス

 

www.t-museum.jp

松島駅に戻りしな、閉館1時間前のザ・ミュージアムへ向かう。「なんでも鑑定団」に出ている有名なコレクターが集めたのおもちゃの展示と、歴史的なオルゴールの展示が楽しめるらしい。1Fはおもちゃの展示。照明を絞ったシックな展示スペース。年代物のファンシーなブリキ製の置物がずらっと並ぶ。同じ空間に、仮面ライダーゴジラのフィギュア、嫌にリアルなハエ男のマスク、特撮の怪獣の頭部などが所狭しと飾られている。わたしがあと20歳若かったら泣いていたかもしれない。私のほかにだれもいないのもあって、普通にちょっと怖かった。

2Fはオルゴールの展示、なんでもあと15分でオルゴールの演奏会が始まるらしい。わたしは展示してあるオルゴールを見て回る。オルゴールと言っても私が想像していたものよりかなり大きい。オルガンのようなサイズ・形状のもの、ディズニーランドのポップコーンカートくらいの大きさのもの。最大のものでは縦7m横9mにもなる巨大なオルゴールもあった。もうそこまで行くとよく分からない。舞台の背景のように豪華な装飾が施されている。展示を見て回る観光客は私のほかに3組ほどいたのだが、演奏会に参加するのは私一人。演奏会を行うホールには椅子が50脚ほど並んでいる。周りには椅子を囲うように10数個の大型のオルゴール。係員のお姉さんが実際に私のために音を流しながら丁寧に解説を聞かせてくれる。私は時折大きくうなずきホヘ~~という声を上げた。気まずくて仕方がない。私のためだけに、年代物のオルゴールから大きな音で流れるルパン三世のテーマ。申し訳がなかった。

帰り際にミュージアムショップでオルゴールを買って帰ろうか悩んだが、やめた。

 

仙台に戻る。この後は予定もないのでジャンプショップを見る。連載が終わった、妻が好きな作品のグッズがあったので確保した。変な仙台土産だ。

 

1度ホテルに戻り晩御飯を食べに外へ。一人風俗街を歩く。ほんのちょっとだけ鼻の下が伸びかけたが、ぐっと人差し指で持ち上げる。慣れない夜の繁華街の空気から逃げるように、通りかかった牛タン屋さんに入る。紺色の暖簾をくぐると、店内はカウンターが8席ほどに座敷のテーブル席が2つ。ラジオで野球中継が流れ、ご年配の大将とその奥様、関係性はわからないがニコニコ人当たりの良い男性店員が、厨房に立っていた。イキフンがグンバツすぎるだろ。3000円程で定食と瓶ビールを頼む。私の目の前で大将が炭火で焼いた、肉厚で脂がのりまくった牛タン。細切りの長ねぎが入ったテールスープ。麦飯。小松菜の漬物。みそ漬けになった何か。理想の牛タン定食すぎて笑ってしまった。わたしが考えた最強の仙台飯ではなく、現実に起こったことなのだが、写真が無い。大将が怖くて写真が撮れなかった。本当に無念である。また仙台を訪れた際にはここに来ようと決め、店を出た。

ホテルに戻り、少ないチャンネル数のテレビをザッピングしながら、セブンイレブンで買った東北地方限定のわかめサラダを食べ、ハイボールを飲んで寝た。いい夜だった。

翌朝は早起きして、うみの杜水族館へ向かう。最寄駅から歩けるであろうと高を括っていたが、意外と遠かった。ここもまた、お洒落で綺麗な水族館だった。新幹線の時間の関係であまり長居はできなかったのと、ものすごい数の修学旅行生と遠足に来ている児童が犇めき合っていたのが悔しいポイント。また必ず、折を見て来ようと決めた。水族館に関する記事は別で書いてもいいくらいだ。もう長くなってきたので割愛させていただく。

 

 

帰りの新幹線で笹かまとハイボールをいただく。思いつきで走り出したにしては良い旅になったと思う。

私はひとりで行く水族館がすきでたまらないので、今回旅の一つの目的になっていたのがよかった。次回開催を妻が容認してくれるかは定かでないが、また毎日のサイクルにうんざりして、おかしくなりそうになったら、交渉してみようと思う。