貯蔵庫

日記、ぶつける当てのないもやもやを置いておく場所

COMITIA144

AM8:30起床。歯を磨き、前日用意していたシャツに袖を通しトートバッグを肩にかけ、妻と家を出る。私はこの日、人生初の同人誌の即売会へ参加するのだ。

結婚して1年半ほどだが、我が家はもう、さっそく妻と出かける機会がレアになってきている。この日も妻は一人で行くというのだが、駄々をこねてついていくことになった。書きながらしゅんとしてしまった。まだ家を出たところなのに、私はこの日の日記を終わりまで書ききることができるのだろうか。

電車を乗り継ぎ、開会前に国際展示場前に着く。人の流れができているので、何も考えずについていく。途中のコンビニで助六寿司を買って食べる。我々が腰かけた机といすが隣の飲食店専用の席だったらしく、店員に移動を要求された。なにか悔しかったので、移動しながら食べた。完全に移動しきる前に食べきってやった。どうだ。

会場に入る待機の列に並ぶ。最後尾にたどり着くのに400mくらい歩いた気がする。こんなに多くの人が居たら、前日夜更けまでチェックしていた出店物はすべて売り切れてしまうに決まっている。私はソワソワしながら入場に必要な紙のリストバンドを手に巻いた。腕のサイズピッタリに巻いて強めのテープで固定してしまったのでキツイ。妻はそんな私を見て笑っていた。

開始と同時に列が進んでいく。後ろの男性客2人は出店者に知り合いが居る様子だった。即売会だものな、ここで行われるたくさん交流があるのだろう。そういうの、とても羨ましい。私と妻は中で別行動をすることを約束していたので、別々のブースへ散る。

前日ボールペンで丸を書いてチェック済みの地図を広げ、好きな作者のえっちな本を買いに行く。開始数分にもかかわらず、通路を塞ぐほどの行列ができている。私は机に置かれている小さなお品書きを凝視し、何度も合計金額を計算しながら順番が来るのを待った。いつもSNS上で遠くから静かに応援している作者が実在することに慣れず、違和感を感じる。新刊に加え手書きの色紙が欲しかったので注文すると、色紙は完売していると告げられる。書いておいてくれ。テンパるじゃねえか。何度も計算した合計金額が途端に狂い、バタつき、どもる。「会計時はおつりが発生しないように準備をしておけ」と妻に強く言われていたのだが、おつりが出る変な額を渡してしまった。たまたま私の会計のタイミングが悪かったのだろう、作者の表情が曇り「おつりもっと用意しておくんだった」と隣の売り子と話していた。なぜか触れていない商品が机の上から落下し、私はそれはもう変な汗をかきながら「ワワワワ」と言った。終わった。目を見て「いつも応援しています」くらい告げたかったのだが、もう、それどころではない。そそくさとカバンに詰め込み、額の汗をぬぐいながら早歩きでブースをあとにした。向こうとしてはなんてことのない一幕なのだろうが、私はもう出鼻をバキバキにくじかれてしまった。

そこからは特筆すべきこともなく、目的のものはすべてとんとん拍子に購入できた。やはりどの作者も現実に実在することに慣れず、目が合わせられない。あくまで購入するだけであり、誰かと積極的に話をしたりとか、そういう素敵シーンは一切ない。妻との集合時間よりも早めに用事が終わったので、ぶらぶらしたり見本誌コーナーを堪能したり、床に座ってオムそばを食べたりした。妻は歩きすぎて足が限界になったようで、早めに引き上げてきた。人を待たせているのは落ち着かないので次は一人で来たいとのことだ。寂しい。

帰りに最寄り駅のサイゼリヤでお酒を飲んで帰った。また妻が行くという時はどうにかしてついていく所存である。私もモノを作る人の熱に浮かされ、化石のようなApple pencilを充電したりした(なにかを描くまでは至らなかったが)。好きなものを通じて深く密な交流の場になっているのが、すごく羨ましかった。いつかは私も机の向こう側からの景色が見てみたいと思った。やっぱ日記本だろうか、妻にはあまり見せたくないな。

 

今週のお題「何して遊ぶ?」